大阪府堺市出身。シンガポールで働いていましたが、2017年11月に帰国。以前から馴染みのあった橋本市に家族を連れて移住し、地域おこし協力隊員として特産品である「はたごんぼ」の生産や加工などの活動に取り組んでいます。
帰国し移住、就職
移住前はシンガポールでネットワークエンジニアとして働いていましたが、仕事先の移転に伴い帰国。この時、「田舎で住むのはどんな感じだろう」という興味がわき、まず「空き家バンク」で家を探すことにしました。
その中で、都会や空港に近いけれど、田舎暮らしが出来そうな橋本市の空き家を見学しました。実家のある堺市まで自動車で40分という好条件に加え、何より梅本さんは各地のだんじり祭りへ手伝いに行くほどの祭り好き。橋本市のだんじり祭りへ参加したこともあり、馴染みがあったことも後押しになりました。大家さんから「一冬越せば暮らしていけるかどうかわかる」と3か月間の「お試し居住」を勧められた家は、市役所から10分ほどの山の上にあり、家から見える景色の良さを一番気に入り、お試し期間が終了した後も、ここでの生活を満喫しています。
幻のゴボウと協力隊の仕事
家の見学に橋本市を訪れた際に、同市が地域おこし協力隊を募集していることを知りました。梅本さんは地域の人とすぐに知り合えればと思い応募。2018年1月から市農林振興課に所属して、はたごんぼや、同じく特産品のカキの生産や収穫、加工、販売、PR、農事組合法人「くにぎ広場」の運営などをしています。
はたごんぼはゴボウの一種で、地域特有の赤土で育ち、直径は最大約8センチにもなる地元伝統野菜です。太くて長いだけでなく、強い香りと中まで柔らかいのが特徴です。高野山に奉納される農産物で、江戸時代から橋本市の国城(くにぎ)山麓で生産されてきました。戦後、土を深く掘るのが大変などの理由から生産が減ってきていましたが、2008年から地域の人達が産地復活に取り組んでいます。
取材に伺った日は、くにぎ広場の近くにある畑で、地元の小学生がはたごんぼの収穫体験をしていました。子供達はあらかじめ重機で掘っていた深さ1メートルほどの穴に入り、梅本さんや他の大人に手伝ってもらいながら、はたごんぼを傷つけないように気を付けながらそっと掘り出していました。
協力隊に就任して1年経ち、地域の人とも親しくなれたと梅本さん。今後も「自分のやりたいことだけじゃだめだと思うので、地域で役に立つことを中心にやっていこうと考えています。はたごんぼの加工品であるごぼう茶やカキを、インターネットを通じて販売するなど工夫してみたいです」と熱く語ってくれました。
お試し居住のすすめ
移住後の暮らしはというと、毎晩風呂に入る際は薪を焚いています。冬は四輪駆動車にスタッドレスタイヤを履くのが必須。困っていることはないものの、想定外だったのは冬季、家の中でストーブを点けても寒いこと。「家の中でもダウンジャケットを着ていますよ」と笑う梅本さん。
地元の食材が美味しいので、組合で一緒に働いている女性たちにレシピを教えてもらって家でも取り入れるなど、組合や娘さんの保育園などのつながりで交流関係も広まってきているよう。県内の他の協力隊員との交流にも意欲的です。これから和歌山県へ移住しようという人へは「地域の特性は外から見ているのと中に入って知るのとでは全然違うので、お試しで住んでみるのがいいと思います」とアドバイスをくれました。
【編集後記】
「地域おこし協力隊」という仕事は、地域を知るにはピッタリ。任期終了後も定住につながるように、交流の輪を広げ、わかやま暮らしを楽しんでもらいたいと思いました。
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