和歌山県の南部、新宮市出身。県外の大学で薬学を専攻し、薬剤師として和歌山県の職員に。配属先の橋本保健所で二年間勤めた後、現在の岩出保健所へ。同じく県職員のご主人と結婚し、互いに職場に通いやすいという理由から和歌山市に夫婦二人で暮らしている。近くの自然豊かな場所でゆっくりしたり、地元食材を使った美味しいものを食べることが休日の楽しみ。
自然豊かな、慣れた土地で暮らしたい
取材の依頼を快く受け入れ、ご主人とよく行くというお気に入りの公園、和歌山県植物公園緑化センターを案内しながらお話を聞かせてくれた樫山さん。ゆったりとした口調で一言ずつ丁寧に言葉を紡ぎ、とてもやわらかな空気をまとっている。
大学進学のため一度県外での暮らしを経験。そのまま県外での生活を選ぶ人も少なくないなか、樫山さんは進路を考える際に住み慣れた和歌山県に帰ろうと思うようになり、就職を機にいわゆるJターンという形で戻ってきた。県職員の薬剤師として、最初に配属先されたのは橋本市。そこで二年間働いた後、現在の岩出保健所に異動となった。県内とはいえ生まれ育った土地とは異なる環境。最初は不安もあったが、住みはじめてみると和歌山県の新たな魅力を発見できたという。
「新宮市で育って、海もあるし山もあるし、自然豊かな慣れた土地で働きたいなと思いました。県内ですけど、橋本市や岩出市には行ったことがなかったのではじめは不安でした。でも、行ってみたら『こんなところもあったんや!』っていう、南の方とはまた違ったところを知ることができて、やっぱり和歌山いいなって思いました」。
地域の方々と関わり、幅広い業務に携われる仕事
仕事では薬事行政や食品衛生に関する業務を担当している樫山さん。薬剤師の就職先として、県の職員を選んだ理由をこう話す。
「薬局とか病院で働く選択肢もあったんですが、県の職員は幅広い業務ができるのが良いなと思いました。薬物乱用防止教室などで小中学校に行って生徒さんたちと関わったり、薬局や病院に行ったり、食品衛生の関係のお仕事で飲食店にいったりとか。高齢者の方に向けてお薬の話をすることもあり、一方で、学校に行って小中学生の子供たちと会う機会もあり、地域に住んでいるいろんな人たちと会う機会があるのは楽しいです。地域の方々のお手伝いができれば嬉しいので、わからないことや困ったことがあったら気軽に聞いてほしいと思っています」。
資料作りなどの準備は大変だが、小学生や中学生が興味を持って話を聞いてくれたり、「薬物の危険性が聞けて良かったです」など一人ひとりが書いた感想文を読むと、樫山さん自身もやってよかったという気持ちになるのだそう。
配属先になった地域で、新しいお店を見つけるのが楽しみです
和歌山県内の出身ではあるが、高校時代までを過ごした新宮市から和歌山市までは自動車で約3時間の距離がある。市内の様子や気候、仕事や生活環境も大きく異なる。
どちらかといえば、大勢の人が集まるにぎやかな場所よりも、静かでゆっくりできるところを好む樫山さんにとっては、より自然豊かな南部の方がのんびりと過ごせるようす。一方で、和歌山市など北部の方が交通の便も良く生活面の暮らしやすさがある。図書館や博物館、科学館などの施設も充実している。
お休みは週二日。残業もほとんどなく、休日はご主人と近場のお寺や自然の豊かな場所に行ってのんびりと過ごす。
「和歌山って海の近くだと白良浜とかがあるし、山側でもお寺とか心安らぐところがあるのでリフレッシュできると思います。仕事はその人によると思うので何とも言えませんが、休暇はのんびり過ごせる場所だと思います。
季節も楽しみやすい、紅葉も見れますし。紀北は柿とか、桃とか、そういうフルーツが多いかな。橋本に行ったり岩出に行ったり、配属先になった場所で地域の食材を活かした美味しい飲食店を見つけるのも楽しいです(笑)」。
「県職員の薬剤師は、保健所のほかにも病院や研究所などの勤務先があって、そういう様々な面から地域の方々の健康をサポートする仕事を行なっています。いろいろな職種の方と共に、地域の方々と関りながら日々の仕事に励むことができるので、県職員の薬剤師になって良かったと思っています」と樫山さん。地域に暮らす人々の健康サポートに務めるのはもちろん、樫山さん自身が仕事先での人との関りを楽しみながら働いている様子が伝わってきた。