―木村さんは2022年3月に家族4人で和歌山市へ移住し、同年9月に家具の製造・販売を手掛ける「SHEEP SHED」をオープン。オリジナル家具の製作をはじめ、家具のオーダーにも対応のほか、国内外の家具やヨーロッパのビンテージ家具の販売、家具の修理、雑貨の販売等幅広く取り扱っています。今回は、移住と共に自身のお店を開業した木村さんに、和歌山市への移住そして開業を実現するまでのお話を伺いました。―
和歌山市の魅力
内装会社に就職した頃「基本の技術を習得し、技術習得後は件数を積み重ねて技術の向上を図り、自身のレベルを引き上げることを目標にしていた」と木村さん。その後「自分のお店をもって独立したい」と考えるようになり、出身の和歌山県へのUターンを検討しはじめた。
移住前は埼玉県の中でも、田舎の方にお店があったが、お客さんは東京都や神奈川県など遠方からのお客さんが多かったとのことで、お客さんが来る場合のアクセスを考え、大阪府に近い紀北エリアへの移住を考えた。その中で人口が多いことや他府県からのアクセスの面など自身が思い描くイメージにぴったり合ったことから、和歌山市に移住を決めた。実際、現在のお店のお客さんは他府県の方が多いとのことで、「狙いどおりだった」と話してくれた。
ただ、「住むところだけでなく、お店をする場所も探す必要があったので同時に進めるのはかなり大変でした」と当時の苦労を振り返る木村さん。主にインターネットを使って情報を収集していたものの「地域の雰囲気も知るためには実際いくしかない」と自分で地域を歩いて回り、今お店が入る物件と出会った。外観に一目惚れしたことに加え、物件周辺には、ケーキ屋さん、雑貨屋さんがあるなど集客しやすい環境でもあり、苦労しながらも自身の思い描く条件に合う場所を見つけることができたそうだ。
起業支援補助金の活用
木村さんは、起業にあたり(公財)わかやま産業振興財団の令和4年度わかやま地域課題解決型起業支援補助金を活用した。「補助金はインターネットで調べていく中で知りました。今までの採択者はITやテクノロジー関係、地産地消関係のものが多かったので、自分の事業には当てはまらないと思ったが、財団に相談したところ『申請してみては?』と後押ししてくれました」とのこと。
ただ補助金の申請に必要な計画書づくりはかなり大変だったそうで、他府県では同じような業態の家具屋さんはあったが和歌山にはなかったので、財団のアドバイスも受けながら和歌山でビンテージ家具を扱う意味やその魅力を盛り込んだ計画書を苦労の末に完成させ、無事に採択されるに至ったそうだ。木村さんも「起業支援補助金に興味がある方は一人で悩まずに、財団へ話を聞きに行った方がよい!」と財団への相談を強くすすめてくれた。
和歌山市は子育ても趣味も楽しめる
家の近くにある紀三井寺公園について、「陸上競技場、テニスコート、野球場などがあり色んなことができる場所。県内トップクラスの各種スポーツ大会なども行われており、子供たちもそれを直に見ることができる」と教えてくれた。
また「以前住んでいた所では、趣味のサーフィンに行くために2~3時間かけて茨城、神奈川、千葉まで行く必要があったが、今は自転車でサーフィンにいくことができる」と生活面での充実感について話してくれた。
地域とのつながりを増やしていきたい!
木村さん自身は、移住する前から本業の家具職人とは別に絵画やポスターなどの額縁の製作活動も行っており、その活動を通して新しい人との出会いや交流の幅も広がったという。今後の活動を聞いたところ、「お店で作業している間はずっと店の中にいることが多かったので、これからはなるべく時間をつくって、気になるお店や地域をまわってみたい。特に木工や塗装、インテリアに関わる人や何か自分がやりたいことに熱中している若い人とも知り合いになって、つながりをつくりたい。それにより、新しい仕事が生まれたり、地域として盛り上がって、何かおもしろいことができる場合もあると思うので。また、この『SHEEP SHED』の場所もイベント等で、うまく使ってもらえたら」と新しい人との出会いや交流が生まれることへの期待を楽しそうに語ってくれた。
木村さんは「移住前にもう少し、移住した人や地域の人の生の話を聞ければ良かった」ということもお話しされていましたので、家具好きの方はもちろん、和歌山市への移住に関心がある方もお店に足を運んで、ぜひ、木村さんの話を聞いてみてはいかがでしょうか。―取材日:2023年9月30日<ご紹介>
○SHEEP SHED 公式ホームページ
https://www.sheepshed.jp/
○SHEEP SHED 公式インスタグラム
https://www.instagram.com/sheepshed_shop/