道下 優海(みちした ゆみ)さん

東京都→田辺市

静岡県焼津市出身。高校卒業後、アメリカで大学時代を過ごし、東京の外資系不動産メーカーでファシリティマネージャーとして活躍。2017年7月に田辺市龍神村に移住。地元の憩いの場『旭屋心禄(あさひやころく』を経営しながら、農業にも従事しています。

望み通りの物件が見つかり、龍神村に移住

日本三美人の湯の1つ、「龍神温泉」があることで有名な田辺市龍神村。最近では地元で栽培する「龍神そば」の産地としても知られています。

田辺市龍神村に移住する前は、外資系消費財メーカー東京支社で仕事をしていましたが、病気のため30歳で退職。和裁士として着物や浴衣を縫って生活していました。その一方で、都会での生活に疑問を感じていました。

週末になれば、旦那さんと愛犬「心禄(ころく)」と一緒に、東京を離れて自然に触れられる所へ遊びに行くように。そのうち、自分たちが旅行に行きたいような所へ住んでしまった方が安いのでは?という考えに行き着き、ウェブサイトで物件を検索。全国くまなく探したところ、見つかったのが今の物件。昔、「旭屋旅館」という名の宿泊施設でした。

「和歌山へは旅行で何度も訪れていたのですが、その度に『和歌山っていいな』と主人と話していました。『スーパーオークワ』もいいなって(笑)。サイトでこの物件がヒットした時『ここ通ったことあるぞ!』とお互い喜び合いました。この物件は場所も間取りも良いし、建物の裏には好きだった棚田もある。即決でした」。

5月にウェブサイトで物件を見つけて、次の週に現地で確認。その次の週に購入確定。6月に物件引き渡し、7月に道下さんだけ移住しました。しかしこれだけに終わらず、7月からは御坊市の就農センターに通って農業を学び、同じ7月に狩猟免許の試験にチャレンジし、見事合格。この間たった2ヶ月、ジェットコースターのような生活でした。

地元の憩いの場「旭屋心禄」オープン

移住して1年半が過ぎた2019年2月に自宅を改装した『旭屋心禄』をオープン。
朝から昼すぎまでの営業で、ドリンク類や軽食、日替わりランチなどのメニューを提供。地域の人たちが集まってわいわいとくつろげる龍神村の憩いの場です。週末は夜も営業。夏場はテラス席でお酒を楽しむ人たちも多いとか。

「建物は当時の雰囲気をできるだけ残して改装しました。昔、旅館に泊まったお客さんが、思い出を語りに来てくれたこともありました。いろんな方の記憶に残っている空間なんです。ここを介してたくさんの方々とつながりができましたし、農業を一緒に学んだ仲間たちや狩猟で知り合った方たちもそう。龍神村に来て、たくさんご縁が生まれました」。

▲室内から見える庭は当時のままに

旭屋心禄の経営以外にも米や野菜を作ったり、狩猟の勉強も欠かさない。道下さんの活動は多岐に渡ります。東京でネットワークエンジニアだった旦那さんは、職業訓練学校に1年間通った後、地元で大工の仕事に就いています。道下さんの両親も静岡県から引っ越してきて、家族みんなで田舎での暮らしを満喫しています。

▲建物の裏の棚田で作られている「心禄米(ころくまい)」

「村人になりたくて来ました」

龍神村に引っ越してきたのはたまたま良い家が見つかったからだと道下さんは話します。
「移住ではなく、私たちは村人になりたくて龍神村に引っ越して来ました。こちらに来てから更に和歌山の魅力を発見することも有り、自然は豊かで農作物はいろいろできる。観光名所以外でも見るべき所は多い。『なぜみんな和歌山のことを知らないんだろう?』と思います」。

移住する上でのアドバイス

「人とのつながりは大切。地域から受け入れられて幸せを感じます。農業も一緒にしてくれるし、梅ひろいや盆踊りにも誘ってくれます。地域と関わっていないと何事もなく時間が過ぎていくんですが、つながりがあるからこそ娯楽が生まれます。龍神村の良さは、よそ者と決めつけずに温かく受け入れてくるところ。私たちが来た時に『若い人が来た! 宝だ!』って(笑)。それはありがたかったです」

地域の人々とすっかり溶け込んで、龍神村での暮らしを満喫している道下さん。これからの目標は?

「もっともっと龍神村のお役に立てるようになりたいです。どんな形でお役に立てるかわからないから、可能性を広げて行くのが目標です」。

▲龍神村のアイドル、看板犬の心禄ちゃん

憩処 旭屋心禄
和歌山県田辺市龍神村福井156
TEL.0739-77-0155
http://www.nhc27.jp/