渡邉 加奈 さん ・勝史 さん

大阪府⇔九度山町

「海」をテーマとする油絵作家の
「高野山麓二地域居住」

「田舎暮らし」に憧れて、大阪と九度山町での二地域居住をスタート
九度山の自宅はDIYで大変身。夫婦共同で、さらなる住み心地の良さを追求

【職業】
加奈さん / 作家(美術)、美術の講師、臨床検査技師
勝史さん / 会社員

【拠点】
① 大阪府八尾市(夫とこどもの三人暮らし)
② 九度山町(夫とこどもの三人暮らし)

【渡邉加奈さんの二地域居住ストーリー】
芸術祭(くどやまアートウィーク2017)への出展がきっかけで九度山町を訪れた油絵作家の渡邉さん。田舎暮らしに憧れがあった中、芸術祭の関係で知り合いになった方から空き家の紹介を受けたことで当地に物件を購入。2週間に1回程度、大阪府八尾市と九度山町を車で往来する生活。DIYで家の修繕をしたり、地域の方と交流したりするなど、大阪とは異なる田舎暮らしを家族3人で満喫している。

 

1.二地域居住のきっかけ

芸術祭が引き寄せた偶然がきっかけ

(加奈さん)古民家風の家に住む田舎暮らしに憧れがありました。そして、「絶対いつか田舎暮らしをしたい」と思っていました。そのような時に、「くどやまアートウィーク」への出展のお誘いがありました。

「くどやまアートウィーク」は、町を丸ごと美術館に仕立てて、商店街通りに芸術作品を展示し、まち歩きをしながら芸術を楽しむイベントです。現在も、「くどやま芸術祭」として2年に1回程度の頻度で開催されています。

イベント出展のために、私の油絵作品を大阪府八尾市の自宅から九度山町に持参する際、ある九度山町役場の職員の方が手伝いに来てくれました。そして、移動中に、私たちが田舎暮らしに興味があるという話を偶然した時、その方は「九度山町内に良い空き家物件があるので、後日案内します」と言ってくれました。この偶然が、二地域居住開始のきっかけとなりました。

二地域居住のきっかけについて語る渡邉夫婦

九度山で展示された渡邉さんの作品(第16回町家の人形めぐり(2024年))

2.九度山町を拠点とした理由

地域に暮らす「人」が決め手に

(加奈さん)「田舎暮らしができる環境である」ことが拠点選びにおいて第一条件でした。実は、九度山町を拠点にするまでは、「海」の見える場所を拠点にしたいと考えていました。もちろん、私の油絵制作のテーマが「海」ということもありました。そして、もう一つの条件が、その場所に「安心感」があるかどうかでした。ここでの「安心感」とは、その場所に最初から知り合いがいるかどうかです。知り合いが全くいない場所に、外部から入っていくとなると、ご近所さんへの挨拶をスムーズにできるかとか、とても不安要素が大きくなってしまいます。その点、九度山町は「海」こそありませんでしたが、高野山の麓の美しい景色が広がる町で、十分「田舎暮らしができる環境」でしたし、「くどやまアートウィーク」を通じて、役場職員の方や関係者、地元の方とも、仲良くさせていただいていたので、第二の拠点として最適だと考え、九度山町に拠点を構えることにしました。

(勝史さん)九度山町に決めた理由として、私も「人」の要素が大きかったです。相談にのってくれた役場の方や購入した物件の持ち主の方の人柄がとても良くて、この町に住みたいという気持ちになれました。自然景観も魅力的でした。川遊びをして、こどもが濡れたまま帰って来られるほどの場所に川があることも魅力の一つです。芝生の公園もすぐ近くにあり、凧揚げを楽しむことができます。大阪では、車を利用しないとそのような場所には行けないので、こどもと思いっきり遊ぶことができます。

九度山での暮らし(川遊び)

 

3.住まい探し

知人からの紹介で

(勝史さん)九度山町での住まい探しは、役場職員の方の紹介、こちらで知り合った方からの紹介で、何軒か空き家物件を見て回りました。物件選びでは、大がかりな改修がいらず、手ぶらで来てもすぐに住める物件を探しました。

4.九度山町での暮らし

購入物件のDIYに挑戦

(加奈さん)夫婦ともに大阪で仕事をしているので、九度山町には2週間に1回程度の頻度で、休日に訪れます。多い時は、毎週のように来ています。自家用車での移動ですので、かかる費用はガソリン代のみで、1回1,000円程度です。こちらは新鮮な野菜が安く売っているので、道の駅などで購入しては、夏場だったら、持参のクーラーボックスに入れて持ち帰ります。拠点間移動は回数を重ねてきているので、かなり熟練されてきました。荷造りに要する時間はかなり短い方だと思います。

(勝史さん)九度山町に来ると、自宅を少しずつ改修・改造しています。エアコンを買い替えた時は、あわせて壁紙も張り替えました。庭の手入れとかも必要で、九度山町では、DIYか掃除ばかりしているような気がします。

5.九度山町で暮らすこと、二地域居住のメリット

普段の仕事とは全く違う作業の連続。これが気分転換に

(勝史さん)気持ちの切り替えができることです。加えて、九度山町では、自宅のDIY、庭掃除など、することがたくさんあるので、来るのがとても楽しみです。一つ一つの作業が、普段の仕事とは異なるので、ものすごく気分転換になります。

(加奈さん)先ほど話に出た壁紙の張替えも、とても新鮮でしたよ。実は、まだ手付かずの部屋がたくさんあるので、どのように変えていこうか、そんなことを考えることも楽しいです。

九度山の自宅のDIY風景

6.二地域居住のデメリット

月に2回の滞在なのに、かさむ光熱費

(勝史さん)ガソリン代、光熱費が余計にかかってしまうことです。加えて、ゴミ問題があります。九度山町に滞在しているのは週末の土曜日・日曜日ですので、そこで発生したゴミは、八尾市に持ち帰らないといけません(ゴミの日が平日のため)。その点は、少し不便さを感じます。

(加奈さん)九度山町での光熱費については、月に2回程度しか滞在しないのですが、光熱費として水道代3,000円、電気料金が2,000円ぐらい、合計約5,000円程度の出費となっています。

7.これからの暮らし方・活動の展望

作家業と平行して地域に貢献できるお店を「出店」したい

(加奈さん)地域の観光拠点となるような、お店を出したい、という夢があります。九度山町は、観光地としてもとても良いところなので、もっと多くの方に九度山を知っていただき、たくさんの方に遊びにきてもらいたいです。

(勝史さん)妻が言っているお店が形になれば地域貢献にもつながると思います。ただ、今の来訪頻度では、掃除等の雑用で終わってしまうので、一旦は家の事がある程度落ち着いてからになると思います。

(加奈さん)それから、自宅に油絵制作用のアトリエも作りたいと思っています。

(勝史さん)お店は当分先になるかもしれません。