石郷岡 大助(いしごうおか だいすけ)さん

大阪府→紀の川市

愛知県名古屋市出身。大阪市を拠点に、衣装作家として活動。仕事拡張のための作業場を探す中で、紀の川市打田町に2017年7月移住。家主さんとのご縁で農業と出会い、2019年2月に県農林学校修了。同年4月より同市桃山町で農園「五風縁」をスタート。

仕事の作業場を求めて、移住を決断

スリムな体形に晴れやかな笑顔が印象的な石郷岡さんは、大阪市を拠点に衣装作家として活動してきました。紀の川市打田町に移住して来たのは2017年7月。でも職業を考えると、都会で暮らす方が便利だと思うのですが…。

「洋服の生地を扱う上でマンションが手狭になってきたので、広い作業場が確保できる物件を探していました。引っ越し先のこだわりはなかったのですが、どうせなら大阪府からは離れたかったので、奈良県、三重県まで範囲を広げて郊外を探しました」。

移住先をホームページで調べていたところ、紀の川市のホームページに掲載されていた空き家バンクの記事に出会い、興味が湧いた石郷岡さん。紀の川市役所にコンタクトを取り、移住担当者と移住に関する相談を重ねる中で、同市打田町にある築60年の空き家を紹介され、移住を決めました。

「紀の川市の静かな環境が好きです。車があれば買い物や外食には困らないし、今でも週に一度は大阪へ行くので、アクセスも便利なのは嬉しいですね。『ほど良い田舎』な印象です」。

▲石郷岡さんが手がけた衣装

自家栽培した野菜の味に感動して農家の道へ

衣装作家として活躍する石郷岡さんがなぜ就農したのか?

きっかけは家主さんから「敷地内の畑を使っていいよ」の言葉でした。未経験ながらも野菜や花を栽培し、自分で食べてみたところ、そのおいしさに感動! 農業にどんどんのめり込みました。「元々、健康志向が強いタイプ。最初は自分の食べる分だけあれば十分だと思っていたのですが、将来的にこの野菜を販売したいと考えるようになりました」。

こうして本格的に農業に取り組むことを決めた石郷岡さん。2018年から和歌山県農林大学校に通い、農業の基礎から学びました。2019年2月に学校を卒業。同年4月より本格的に農家として活動を始めました。「衣装デザインも農業も作ることに関しては同じ。農業は思い通りにならないところに面白さを感じています。一生飽きることはないと思っています」。

和歌山の野菜を大阪で! マルシェを開催

紀の川市桃山町にある石郷岡さんの農園「五風縁(ごふうえん)」で栽培する農作物は、季節に合わせて少量多品種。ハーブ類も手がけます。流通にのせるとコストがかかるので、販売ルートの独自開拓にも注力しています。

その中の取り組みで、大阪時代のコネクションを使って、梅田のダイニングカフェで野菜を販売するマルシェを開催しました。「本物の野菜を消費者の方々に知ってもらうため、周辺の農家さんたちから野菜を預かり、和歌山の野菜として販売しました。初めての開催ではお客さんの行列にびっくりしました(笑)」。

▲大阪でのマルシェの様子

もっと野菜の魅力を伝えたい!

農家として、衣装作家として、忙しい日常でもご本人は「楽しいから!」とにっこり。今後の夢は、都会の人たちに本物の野菜を知ってもらうこと。環境を優先した未来へつなげる農業をめざします。

「将来的には、消費者の方々に野菜作りの現場を見学してもらうなどして、野菜の魅力をもっと伝えていきたいですね」。バイタリティあふれる活動で一歩ずつ目標をクリアしていきます。