杉本 大貴 さん

東京都⇔和歌山市

IT企業の経営者が
故郷と首都圏で実践する二地域居住

和歌山市で次世代交流型コワーキングスペースを開設
様々な人達が交流を求めて集まれる場を創造し、人と人とを繋ぐ

【職業】
経営者

【拠点】
① 東京都渋谷区(ひとり暮らし)
② 和歌山市(実家)

【杉本さんの二地域居住ストーリー】
和歌山市出身。2021 年 12 月に、Web制作・Webシステム開発から映像制作までを手掛けるスタートアップIT企業㈱SOUNE(東京都渋谷区)を設立。2022年4月には、SOUNE関西支社を和歌山市内に開設。東京都渋谷区と和歌山市での二地域居住を実践中。
和歌山市内での事業として、次世代交流型コワーキングスペースの SOUNE COWORKING(ソウネコワーキング)を2023 年 5 月に北ぶらくり丁にオープン。ウェブエンジニアをはじめ多種多様な人々が集う交流拠点づくりを目指し、日々奔走している。

 

1.二地域居住のきっかけ・目的

地元でエンジニアを目指す人々へ情報交換・交流の場を提供したい

和歌山市内のシステム開発会社で働いていたことがあり、その頃から、県内にはシステム会社やWeb制作会社等の数が少ないと痛感していました。そのため、フリーランスで活動している方にとっては、県内では仕事の案件獲得や業界情報の収集が難しい状況にあります。

そこに問題意識がありましたので、和歌山で独立・起業を目指しているシステムエンジニアの方々が交流し、情報交換や仕事を共有できるような場を提供したいと思い、和歌山市内で事業を展開することを決め、二地域居住を始めました。この事業こそ、エンジニアの活動拠点・交流拠点となるコワーキングスペースの開設でした。

二地域居住のきっかけや目的を語る杉本さん

2.拠点探し

予算内でコワーキングスペースとして活用できそうな物件を探す

コワーキングスペースを開設する場所はどこがよいか。拠点探しの条件としては2点ありました。1点目は、和歌山市内でコワーキングスペースとして活用できそうな物件(部屋数の多さ等)であること、2点目は、定めた予算の範囲内であることです。

地元の友人と情報交換を行いながら、様々な候補物件をリストアップし、実際に内見したりもしましたが、最終的には知り合いから紹介された現在の拠点(北ぶらくり丁商店街内)に決めました。その後、コワーキング事業をテーマとして、中小企業の業態転換を支援する国の事業再構築補助金に採択され、その資金をもとに、利用者にとって居心地の良い空間を作るべく、内装にこだわった改修を施しました。

商店街の中のコワーキングスペース

3.地域における仕事や活動

多種多様な方々が集まる「憩いの場」を提供

北ぶらくり丁に開設したコワーキングスペース「SOUNE COWORKING(ソウネコワーキング)」の利用者は、エンジニアや映像編集ディレクター、翻訳家の方が多いのですが、業種に関わらず利用者同士の交流も生まれてきています。

ソウネコワーキングでは、利用者同士が気軽に話しながら、交流してもらえることを目的としているので、入口をオートロック化するのではなく、常に人が出入りできるようにしています。また、コワーキングスペースは場所を提供するサービスなので、多くの方に利用して頂くために、コーヒーが飲めたり、仮眠ポッド(仮眠専用の箱型装置)を設置したり、内装の配色を落ち着いた色調にしたり、空間にゆとりを確保したり等、居心地の良さを追求しています。

現在、シェアオフィスとして1社にご利用いただいている状況ですが、今後は、シェアキッチンも準備し、利用者にとって更に居心地の良いスペースを提供していきたいと考えています。

おしゃれな空間が広がるコワーキングスペースには仮眠ポッドもあります!

4.地域間の移動の頻度/交通手段

月に1~2回、新幹線で拠点間を移動

月に1~2回、仕事の関係で人に会う必要がある時に東京都渋谷区に移動します。移動は新幹線で、1回の移動で往復3万円程度の出費になります。東京都渋谷区と和歌山市での滞在期間は一ヶ月当たり約2週間ずつです。

5.各拠点での暮らし

東京都渋谷区滞在中は、趣味の音楽を楽しむ

和歌山市での滞在中は、母親が暮らす実家で暮らしています。二地域居住を始める前までは、なかなか帰省する機会がなく、申し訳なく感じていたので、短い滞在期間ではありますが、少しは親孝行もできているのではないでしょうか。母親も、こちらでの活動について応援してくれています。

和歌山市内の移動はバスを利用しています。利用するバス停近くにスーパーマーケットがあり、買い物などはそこで済ませます。ですので、特に車の必要性は感じません。

もう一つの拠点である東京都では、趣味が音楽鑑賞ということもあり、都内のミュージックハウス、バーを訪ねます。楽器店などにもよく行きます。

6.和歌山での二地域居住のメリット

地域の気さくな人達との交流が良い気分転換に

和歌山で暮らすことのメリットについては、海等の自然を身近に感じることができるなど、空気感が都会とはまったく異なることです。そして、和歌山のコワーキングスペースでは、近所の方が突然「迷惑メールくるんやけどこれ何やろ?」と聞きに来て、それについて教えるといったようなやり取りが度々あり、「人との距離、関係の近さ」を感じることができます。

東京都ではあまり経験しないことですので、とても新鮮で楽しいです。もちろん、長い間、和歌山に滞在すると、この「人との距離、関係の近さ」が、面倒に思えてしまうこともありますが、二地域居住ですので、そのような場合は、多忙でビジネスライクなお付き合いの多い東京都での暮らしが、よい気分転換になります。

7.これからの暮らし方・活動の展望

和歌山で、もっと多くの人と人とを結びつけたい

今後の活動として、これまで和歌山県内では、あまり開かれていなかった「プログラミング勉強会」を開催したいと考えています。具体的には、東京を中心にプログラミング勉強会を開催している方に講義を依頼し、少しでも多くの参加者を募り、新たな交流を生み出していきたいと考えています。将来的に、ソウネコワーキングは、町の中の人と人とを結び付けるインフラ的な機能を担うことが理想です。イメージとしては、若者が、人とのつながりを求めて集まって来るような場所です。

「人とのつながり」とか、「交流」というと、面倒だったり、非効率だと感じる方もいると思います。ただ、その交流を通じて、何かアイデアが生まれたり、仕事の受注につながったりすることもあります。一見、非効率だと思える交流を「価値化」する。次につながるような「交流」を提供できる場所に、ソウネコワーキングがなれるように頑張っていきたいと思います。そのためにも、空間の居心地の良さはもっと改善していきたいです。