―東京生まれ、東京育ちのAZY(アジー)さんは、東京でアート関連と英会話講師の仕事をされていました。2020年夏、東京でずっと暮らすことが想像できずにいた中、和歌山市在住の知り合いのアーティストに呼ばれ、はじめて和歌山県を訪れました。それがきっかけで、漠然とではありましたが移住を考えだしたとのことです。その後は、移住へのステップを着実に進め、2022年に移住されました。今回は、そんなAZYさんに、移住を実現するまでのお話を伺いました。―
古座川町の魅力
「東京は人との出会いも多く恵まれているが、作品づくりのモチベーションを保つという面では満足できなかった」と言うAZYさん。北海道から沖縄まで多くの場所を訪れた中で、和歌山に決めた理由として、イギリス留学時代に通っていた大学のあるブライトンという街に雰囲気が似ていたことが大きかったそうです。「海が近く、自分が今まで触れてきた環境が、和歌山の風景に詰まっていた」という言葉が印象的でした。
「東京は人が多く騒がしかったが、古座川町は静かで落ち着くことができ、作品の制作にも集中できる。作品の制作中は、パソコンなどデジタル機器に囲まれているが、仕事を終え一歩外へ出ると川、山が目の前に広がり、散歩しながらリフレッシュできる場所がすぐ近くにある。思う存分好きなことができる環境がそろっている」と楽しそうに話してくれました。
一方で、東京在住時にはそれほど感じなかった台風などによる川の増水や停電など、自然の脅威についても肌で感じたそうです。
直感で和歌山に移住する!と思った
同年12月には、田辺市近露(ちかつゆ)で「しごと暮らし体験」に参加。串本町でも「しごと暮らし体験」に参加し、和歌山県の支援制度を活用。
2021年10月には串本町、古座川町を現地訪問し、海側と山側の違いも知ることができたそうです。地域情報については、主に役場の方や現地案内担当の方とのやり取りの中で情報を集めました。「現地案内を経験し、串本町の海にも近く、古座川町の山の良さもありコンパクトにうまくまとまっているところに惹かれた」と教えてくれました。また、移住先選びは「楽しく旅をしながら」決めたとも話されていました。
山、川、畑、田んぼなど地域の景色が良く、お家もよかった
「いきなり地域に入ってきて誰にも構われない状態ではなかったので、環境的には恵まれていました」と話してくれました。
2022年7月に古座川町に引っ越したAZYさんですが、「夏も涼しいので、クーラーも必要ない(もともとクーラーが好きではない)生活は快適そのもの」だそうです。
東京にいる意味がなくなった
移住を検討していた時期に、東京で勤めていた英会話学校講師を辞めて、テレビ番組のイラスト制作の仕事を受注することになり「納品はオンラインで行うため、東京にいる意味がなくなった」ことから移住するタイミングも良かったそうです。また「イラストの仕事の依頼元は東京がメインではありますが、地域内の移住者同士のつながりの中で、仕事が生まれることもあると感じている」とも話してくれました。イラストの仕事以外にも、この場所で他に何ができるかを考えながら活動の幅を広げられたらといいます。
移住することに不安はなかった!
移住を考えている方に向けて「お金を貯めているのなら移住したほうが良い!東京の家賃は月に何十万と高いし、今思うと、何にお金を出しているかわからなかった」「現状に見切りをつけている方は新しいことをした方が良いと思います。失敗すればまた何かやれば良い。怖がることはない」「心配せず色々やってみることが人生もったいなくないと思う」とアドバイスをくれました。
古座川を視野を広げるきっかけづくりに!
―東京から古座川町に移住したAZYさん。「地方に比べ仕事もあるので、自分の居場所は東京にしかないという考えにとらわれがちですが、一歩引いた目線で『東京での人生』について考え、東京以外の生活に目を向けることを考えてみてはどうでしょうか」と話されます。移住により、「自分らしさ」を実感されたことが、お話の中からとても伝わってきました。自分の居場所について見つめ直したいという方は、勇気を出してまずは興味のある地域に足を運んでみてはいかかでしょうか―
取材日:2023年8月30日
<ご紹介>
○AZY WEBSITE
https://linktr.ee/azy_azy_azy
AZY (アジー) / Illustrator
1992年東京生まれ。2015年University of Brighton Illustration BA(Hons)卒業。濃厚なイギリスでの美大生生活を終え、帰国後イラストレーターとしての活動を開始。独自の哲学を相棒にドリーミーでハッピーな21世紀ロマンスを創造する日々!加えてイベント主催、ウェブライター、クラウドファンディング企画、アートチューター等イラストレーターの枠に限らずマルチに自由気ままに活動中。Eテレ『ロッチと子羊』のイラストを担当。