宮脇 淳 さん

東京都⇔和歌山市

良い教育環境を求めて、
和歌山と東京での二地域居住を実践

こどもの教育環境を変えるために戻った和歌山市で、
地域で出会った仲間との繋がりを活かし、和歌山に新たなメディアを創出

【職業】
経営者(ウェブコンテンツ制作会社)

【拠点】
①東京都内(妻と二人暮らし)
② 和歌山市在住当時(妻とこどもの三人人暮らし)
※現在、新潟県長岡市でも二地域居住(妻とこども1人、孫1人の4人暮らし)

【宮脇さんの二地域居住ストーリー】
ウェブコンテンツ制作の有限会社ノオトの代表取締役。こどもの教育環境を変えるため2012年から2016年まで和歌山市と東京での二地域居住を経験。和歌山市在住中に地域情報・ニュース配信サイト「和歌山経済新聞」の立ち上げ・運営に携わる(現在は、同メディアの顧問)。2016年に娘が京都の高校に進学したため和歌山市の拠点を退去し、東京だけの生活に戻るも、2019年からは東京と京都で再び二地域居住を始める。その後、娘の就職と出産を控えた2023年4月からは、東京と新潟・長岡で二地域居住を実践している。

 

1.二地域居住のきっかけ

こどもの教育環境を変える

東京に住んでいた当時、私の娘が通う小学校は、中学受験をする児童が90%以上を占める進学熱の高い学校でした。娘は、そのような競争的な環境に合わず、教育環境を変えようと家族で話し合いました。私も妻も都内に仕事があり、完全に別の場所に移住することはできませんでしたので、二地域居住を検討することになりました。

二地域居住のきっかけについて語る宮脇さん

2.拠点選び

良き相談相手に恵まれ、和歌山を拠点に選ぶ

拠点を選ぶ際の基準は人によって異なります。東京のような大都市に住んでいれば「自然」を求める人もいると思います。ただ、妻や私の場合は、大自然の中で暮らすよりも、ある程度、交通・生活インフラが整った利便性の高い場所が良いと考えていました。そして、いくつかの候補地を検討し、最後は妻と私の出身地である和歌山市を選びました。和歌山市には、両親や弟、妹、友人がおり、当地の教育・生活環境について、有用な情報・助言をもらいました。特に、弟はこども3人が市内の小学校に通っていたので、娘の転校先の小学校をどこにするかについて相談に乗ってもらいました。

和歌山城から望む和歌山市の風景

3.和歌山市での暮らし・活動

家族は和歌山に在住、自らは和歌山へは月1回程度、約1週間の滞在

東京と和歌山市の移動頻度は、月に1回程度で、滞在期間は1週間程度でした。移動手段としては、飛行機を利用していました。当時は、早めに飛行機を予約すれば片道運賃が8,000円程度で、新幹線よりも安く利用することができました。

和歌山で自ら「仕事」づくりにも取り組む

仕事のためコワーキングスペースを契約し、そこで多く人と知り合いになりました。せっかくの二地域居住の機会でしたので、和歌山でも自らの仕事を作ろうと考え、サークル活動に近い取り組みではありましたが、知り合った仲間とともに地域ニュースメディア「和歌山経済新聞(和歌経)」を立ち上げました。

「和歌山県内で人のつながりを作る」ことを目指しつつ、webコンテンツには、読者に興味を持ってもらえるような鮮度の高い情報が重要です。そのような情報は、人との交流、コミュニケーションから得られることが多いことから、コワーキングスペースに限らず、和歌山市駅前の地下にあったバーなどにも通いつめ、多くの人と交流する中で情報収集しました。

現在も「和歌経」には顧問的な立場でつながりがあり、昨年12月には開設10周年イベントに登壇しました。インターネットは派手な話題がバズって悪目立ちするケースが少なくないのですが、地元のローカルニュースが身近な人に届くのはとても大切なことだと考えています。

「和歌山経済新聞」開設10周年イベント(写真提供 : 和歌山経済新聞編集部)

4.二地域居住のメリットとデメリット

単調な日常にメリハリが生まれ、交友関係は大きく広がる

二地域居住には、デメリットもあります。いくら早期予約で割引が適用されるとはいえ、毎月の移動費用はかさみますし、それなりに長時間の移動時間が取られてしまいます。そもそも家が2カ所あると、家電製品を含めて身の回りのものを二地域でそろえる必要があり、生活コストは上がります。

一方、メリットを挙げるとすれば、人生の「おもしろさ」を経験できる点でしょうか。一拠点であれば単調な日常も、二地域居住となると起床時から気持ちが違います。「あ、そうか。今は東京にいるのか」「今日は、和歌山か」といった普段とは異なるこの感覚は、とても新鮮です。また、拠点ごとに交友関係、人間関係が違うので、触れる情報の幅も広がり、集まる情報量も増えます。編集者として常にいろんな企画を考え、コンテンツをつくる仕事をしている私にとって、こういう環境づくりはとても合っていると思っています。

5.新たな拠点で二地域居住を継続

各拠点で人との出会いを楽しむ

娘の高校・大学進学、就職などもあり、2019年からは東京・京都、2023年からは東京・長岡で二地域居住を続けています。拠点間の移動手段は飛行機から東海道新幹線、上越新幹線へ代わりました。特に、長岡は初めて訪れた土地で、夏には100万人以上を動員する「長岡まつり大花火大会」を体験しました。拠点が変わるたびに増え続ける衣類、家電と格闘しながら、それぞれの土地での新たな出会い、地元の人々との交流を楽しんでいます。

長岡まつり大花火大会