増山清人さん

東京都→古座川町

東京都葛飾区出身。ミュージシャンやバーテンダーなどを経て、常に時間に追われる生活からの解放を求め、2017年古座川町へ移住。そこには子供のころ下町で感じた人情の素晴らしさを改めて実感する暮らしがありました。

生まれ育った環境と地元の変化

生まれも育ちも“男はつらいよ”の柴又や“こちら葛飾区亀有公園前派出所”の両さんで有名な東京都葛飾区の増山さん。

リアルな葛飾区はどのような町かを尋ねると
「皆さんもイメージがあるあのまんま、いわゆる人情の町。東京下町だと思います。小さい頃は本当にその通りで、家と家の隙間や細い路地を駆け巡る事が遊びで、誰かもわからない、いわゆる“カミナリオヤジ”的な人に叱られ、近所の人の家にお邪魔しておやつをご馳走になったり(笑)」と朗らかに話してくれました。

しかし、時代の変化と共に、東京には国内外問わず人が増え続け、今では、すれ違う人の言葉が標準語では無い方が多いほど。そんな環境の変化にさいなまれたのは、結婚し、子供が産まれた事がきっかけだったそうです。

「近所で赤ちゃんを抱っこして歩いていても、我関せず。そもそも、挨拶さえ返ってこない。昔を知っているだけに、この変化には心底がっかりしました。悲しさ、腹立たしさ、時代の流れなのかな?という諦め、色々な思いが込みあがったのを覚えています。」。

 

移住という選択肢を選んだ理由

「正直“移住”なんて考えた事もありませんでした。そもそも、“移住”の定義が分からなかったですしね。」

そんな増山さんが移住をする気になったきっかけは、古座川町出身の奥様の「良い環境で子育てがしたい」という願いだったそうです。

「もちろん、自分でもそれは強く思う部分でした。良い環境とは何か。妻にとってみれば、自分が生まれ育った、自然に囲まれて悠々とした環境。僕にしてみれば、何度か訪れた事がある古座川町の人情の魅力。あと趣味のアウトドアがし放題(笑)。総じて、子供が育つ環境としてはとても“良い環境”だというのは理解していました。」。

「ただ、生活するうえで必要な収入、仕事が田舎には無いだろうと決めつけ、現実的に考えてはいませんでした。和歌山県の皆さんすみませんでした。」と当時を振り返る増山さん。

確かに地方には仕事が無いのでは、という不安は移住を考えている人から多く聞きます。その例に漏れず、仕事面に不安を抱えていた増山さんですが、奥様からの連絡が人生を変えることになります。

「ある日、妻から『仕事あったよ』との報告が入って、詳しく聞くと年収は減るものの、人が生活している場所なのだから大丈夫だろうと、すぐに移住を決めました。ハローワークと妻の行動力が凄いです。あと、考えすぎると動けなくなると思ったので即決しました(笑)。」

子育てもプライベートも充実の暮らし

現在増山さんは、移住を考えている方のフォローをするNPO団体のスタッフとして、和歌山県内全域はもちろん、イベントで大阪や東京に出向く機会も多く、日々忙しく活動していらっしゃいます。

移住後の暮らしについて尋ねると
「全然ゆったり過ごせていません(笑)。ですが、都内で働いている時の様な、“時間に常に追われている感覚”や、“高い生活固定費に対する切迫感念”、“ストレス”などをほとんど感じ無くなりました。子供も、そこら中が遊び場ですし、地域の人皆で見守ってくれているので、すくすくのびのび成長しています。」と笑顔で話してくれました。

「しかも意図せず、近所に年代の近い移住者家族も多く、子供含め家族ぐるみで遊んだり、地域活動に参加したりと、仕事外でも充実した生活を送っています。移住してから知り合った和歌山市の人から誘われてメタルバンドもやっていますよ。髭なんかも生やしちゃって(笑)」と話す増山さんの笑顔から充実感が滲み出ていました。

楽しんだ者勝ち精神で地方暮らしを謳歌

移住という大きな覚悟のいる行動について増山さんは「“移住=生活”を変える、という事らしいですが、正直、誰も知らない、縁も所縁もない土地に生活を変えるって、相当な不安があると思います。でも、人生なんでもスタートは同じ。学校も会社も初めは、周りは他人です。ですが、時間が経つと気づけば周りは皆、知人友人に代わっている。移住も同じだと思うんです。」と力強く話してくださいました。

「基本ポジティブな性格なので、“楽しんだ者勝ち“精神で毎日楽しんでいます。BBQやキャンプ、川遊びやカヌー、海水浴にダイビング、釣りなど、自然を満喫出来るわりに、ネット通販は翌日にもしっかり届くし。子育てもし易いし、メリットはたくさんありますよ。
当然ながらデメリットもあります。僕の住んでいる地域の話ですが、県外に出にくいとか・・・。
けれど自分にとってはメリットの方が大きい。地方暮らしを体感しているからこそ、移住を考えている人には都会の人があこがれる悠々とした生活を送って、羨ましがられてみても良いのではないかと自信をもって勧めることができます。」。

【編集後記】
都会から正反対の環境への移住。「何に価値観を求めるか」という事をおっしゃっていた増山さん。自然環境が豊かと言うのは、見る人から見たらとても貴重で、その地域の方々には誇らしい事なのだなと、改めて感じさせられました。

■和歌山県ふるさと定住センター
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