有田市糸我町出身。2012年ごろ東京からUターンしてきました。幼いころから好きな映像制作の会社を立ち上げ、「クリエイティブで人や町を豊かにしたい」と地域の魅力を発信しています。
「映像で人に喜んでもらいたい」
「父の影響を受けて映画を見始め、小学生の頃から映画を自主制作していました」と山本さん。友人や先輩にプレゼントすると喜んでもらえたことから、自己表現の手段として映像の楽しさを知りました。「人に喜んでもらいたい」という思いを胸に抱き、映像について学べる大学を卒業し、東京都でテレビ番組の制作会社に入社。ADやディレクター業に携わりました。
退社して帰郷した後、関西一円に展開するブライダルを中心とした映像会社に勤め、映像を通じて感動を与えることを学びました。その後独立して、実家と神戸市に拠点を置くクリエイティブ会社「CHRONO(クロノ)」を開業しました。2018年2月からは個人事業として「ORANGE BLUE(オレンジ・ブルー)」の屋号で、企業のCMやPR映像制作、SNSでの発信業務代行、ブランディングなどを手掛けています。
高性能なカメラ機能をもつスマートフォンの普及やSNSの発達で一般の人の発信力が高くなってきている中、山本さんはプロとしての技術を高めていかなければならないと感じています。例えば都会から和歌山県にやってきた人が「窓の外に見えるミカン畑がきれい」と感じる非日常の感覚を大切にしており、「その気持ちで撮っていると、何でもすごいと思えるんです。撮らせてもらって、いつも感謝しています」と目を輝かせて語ってくれました。
生まれ育った有田地域への思い
和歌山県有田地域(有田市、湯浅町、広川町、有田川町)の魅力をPRするホームページとFacebookページ「ARIDA TTE ARIDA」も開設しています。ホームページには山本さんが自主的に制作した映像が載っています。ドローンで上空から撮影した迫力ある映像が多く、四季折々の色彩豊かな風景を見ることができます。Facebookページでは地域のイベント情報やお店情報、季節の移り変わりなど、さまざまな情報を発信しています。まち全体の意識改革が大事だという考えのもと、映像教室や子どもドローン教室を開催するなど今の自分に出来ることを常に模索しているそうです。
自身の有田地域への思いについて山本さんは「生まれたところが好き。お世話になっている人が多くいるし、何か恩返ししたいと思うんです。ドローンを飛ばすのは、地元の人に地域の豊かさに気付いてもらうのと同時に、防災活動に役立てればと。災害時に行政が伝えられる情報には限りがあって、サポートできたらいいなという思いがあります。行政が発信できないところのお手伝いをしていくうちに、地域の良さを再認識し、自分自身も学ばせてもらっています」と話してくれました。
地元に戻って現在の仕事をするようになって、休むことはほとんどないけれど、東京よりもストレスは少ないそう。東京で学んだこと活かし、人口の多い都会とは異なり「埋もれずに輝ける」ことが地方の魅力だといいます。
地元で生活していて良いことは、愛着のある風景が大人になって見るとさらにすばらしく見えたこと、ご飯や水がおいしいこと、家族や友人に会えること、静かで落ち着いた環境であること、移動手段が都会では多い満員電車ではなく自動車であること、コミュニティの絆が強いので地域の人と話すと面白いこと、…など、次から次へとたくさん教えてくれました。Uターンを考えている人には「(都会と和歌山県では)マーケットの人数が違うという不便さはあるけど、逆に言えば開拓の余地があり伸びしろがあるということ。ネットや交通網が発達した時代、技術を身に着け、柔軟な発想力と地域に感謝する気持ちがあればご飯は食べていける。何か変えたいというチャレンジ精神を持っていれば大丈夫」と伝えたいそうです。
【編集後記】
「映像を作っている人、発信する人が田舎だと思っていたら、そのまちはよくならない」(山本さん)――生まれ育った地域が好きな人は多いです。ですが、本当にその魅力を「こんなにすごいんだよ」と世界にアピールしている人は少ないのではないでしょうか。地域の可能性を信じ、行動する山本さんは、地域で必要とされる人だなと思いました。
・所在地 〒649-0421 和歌山県有田市糸我町中番110
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